ヒトの身体を構成し、ヒトとしての活動を続けるために最も重要な働きをしているのがタンパク質です。タンパク質を構成している最小単位は、アミノ酸という小さな分子ですが、アミノ酸とアミノ酸がつながるとペプチドやタンパク質ができます。10個前後のアミノ酸がつながったペプチドをオリゴペプチドと呼び、それ以上の数がつながったものをポリペプチドと呼びます。アミノ酸が100個以上つながったポリペプチドで特有の構造や機能を持ったものをタンパク質と呼びます。
食事として摂取したタンパク質は、消化酵素によって低分子のペプチド、アミノ酸へと順に消化され小腸から吸収されます。しかし、消化酵素の不足や消化機能の低下などにより消化がうまくいかないと比較的分子量の大きいペプチドの状態で腸に届くことが多くなります。その時、カンジダ(真菌の一種)などによって腸管壁が傷害されていると、本来吸収されるはずのないこれらペプチドが腸管壁から吸収されます。
特に、小麦、大麦、ライ麦などに含まれるグルテンや乳製品に含まれるカゼインは、ヒトの消化酵素のひとつ、「DPP-4」という酵素によって不活性な低分子に分解されますが、この酵素が先天的に欠乏していたり、カンジダ(真菌の一種)の増殖や水銀など有害金属の体内蓄積などによって十分に生成されないと、カソモルフィンやグリアドルフィンといった未消化ペプチドが腸管から血中に吸収される割合が多くなります。
カソモルフィン(Casomorphin)とは、乳製品に含まれるカゼイン由来のペプチドで、グリアドルフィン(Gliadorphin)とは、小麦、大麦、ライ麦などに含まれるグルテン由来のペプチドです。これらのペプチドはオピオイド効果を有す食品オピオイドペプチドであり、腸管から血中へと移行し血液脳関門(BBB:Blood Brain Barrier)を通過して脳内に到達すると、脳のオピオイド受容体に結合しモルヒネ様の作用を引き起こします。
通常、ドパミン作動性神経は、過剰なドパミン放出によって脳が興奮しすぎないよう抑制を受けています。そのドパミン放出を抑制する神経がγアミノ酪酸(GABA)作動性神経です。カソモルフィンやグリアドルフィンが、このGABA作動性神経のオピオイド受容体に結合するとその働きが抑制されます。その結果、GABA作動性神経による抑制のタガが外れたドパミン作動性神経によってドパミンが放出されることがわかっています。
例えば、ドパミンの放出により脳が興奮、特に側頭葉上部の音・言語の情報に関連した聴覚野に影響すると、聴覚過敏(音に対する過敏性)などの症状が現れることがああります。
この検査は、ペプチドが腸管内から血液中に移行していないかどうかを、尿中のカソモルフィン、グリアドルフィン濃度を測定することで調べます。以下の症状や疾患がある場合に有用な検査です。
関連する健康障害
検査項目
検査費用
ペプチド検査は栄養療法の検査であり、自費(保険外)診療となります。
そのため診察にはトータルで、
【 診察料(初診料 or 再診料 ) + 検査料金 + 検査後指導料 】
がかかりますのでご了承下さい。
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検査結果サンプル
検査結果がでたら
上記、検査結果サンプルの【H】は、カソモルフィンが未消化ペプチドとして高い数値で検出されたことを意味します。
カソモルフィンに強く反応した場合、乳製品を使用した食品を食事から控えることをお勧めします。
グリアドルフィンに強く反応した場合、小麦や大麦、ライ麦などを使用した食品を食事から除去していただくことをお勧めします。
いずれも、加工食品に含まれていることが多く完全に食事から除くことは困難であるため、上手に消化酵素サプリメント等を利用することが大事であり、同時に腸内環境の改善やカンジダの除菌をすすめることで未消化ペプチドのリスクを減らしていきます。腸内環境改善のためのアプローチに関してはこちら