大阪市の漢方精神科・小児精神科・心療内科・カウンセリング/栄養療法

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中庸(ちゅうよう)

中庸」とは、「過不足なく偏りのない状態」を意味しますが、健康を考える上で最も重要な言葉です。

 漢方医学では病気の原因は「中庸の状態を保てないことからくると考えられています。
 気・血・水の過不足や滞り、陰陽バランスの乱れなどが様々な未病、病気を生み出します。

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陰陽(いんよう)

 陰陽理論では、自然界のすべては相反するが互いに補い合う関係にある「」と「」の2つの要素に大別できると考えています。

 「」とは静的な性質で、闇、暗、水、冬、夜、植物、柔、女性・・・などを表し、「」とは動的な性質で、光、明、火、夏、昼、動物、剛、男性・・・などを表します。
 漢方医学では、人の体にもこの陰陽の理論が当てはまると考えられています。陰陽のバランスがとれた状態が理想の健康状態で、そのバランスが崩れると不調が生じ病気となります。
 陰陽は一方が強くなると他方が弱くなります。例えば、陰が強くなると陽が弱くなり、冷えやむくみ、消化不良などの症状を認めたり、他方、陽が強くなると陰が弱くなり、熱がこもって、火照りやのぼせなどの症状を認めたりします。

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気血水(きけつすい)

 漢方医学では、「」「(けつ)」「(すい)」と呼ばれる3要素が体の中を常に巡っており、それによって心と身体の健康を保っていると考えられています。

 「」とは大気食物から取り込まれ、体の正常な働きに必要なエネルギー源として体を巡る生命エネルギー(代謝・運動等のエネルギー)のことです。

 「」は血液および血液によってもたらされる栄養分であり、酸素栄養素を全身の細胞に運びます。

 「」は血液以外の全ての体液(汗、唾液、尿、関節液など)をあらわし、老廃物を体外に排出しながら体に必要な水分のバランスを保ちます。

 「」が運動性の高い「」とすると、「」「」は「気」が体内で変化してつくられ「気」の力によって体を巡る運動性の低い「」と考えることも出来ます。

 漢方では「」「」「」三要素の過不足滞りの結果バランスが崩れることで病気が起こると考えられており、主に以下の6つに分類されることが多いです。
気逆」「気うつ」「気虚」「お血」「血虚」「水毒

 「」「」「」は相互に関連し合うためそれぞれの変調が複合して現れることも多く、特に日本人女性は「気虚」を主に「血」や「水」の異常を合併するケースが多いです。

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「気」の異常・・・「気逆」「気うつ」「気虚」

@「気」が上がったままの状態 =「気逆(上衝)」
【主な症状所見】 
「気」は通常中枢から末梢、つまり頭から手足先へ下降しますが、「気」が頭や上半身に逆流すると、激しい頭痛や冷えのぼせ、ホットフラッシュ、イライラ、発汗、動悸、驚きやすい、パニック発作、急な腹痛などの症状をきたしやすい。
【頻用漢方】
桂枝を含む苓桂朮甘湯、桂枝湯など

A「気」が滞っている状態 =「気うつ(気滞)」
【主な症状所見】 
症状は「気」が滞っている部位により変化し、のどや胸が詰まった感じ、呼吸が苦しい、お腹が苦しい、不眠、抑うつ気分、不安感などの症状をきたしやすく、精神的ストレスにより自律神経に乱れが生じやすい。
【頻用漢方】
気の巡りを良くする理気剤である半夏厚朴湯や香蘇散、女神散など

B「気」が不足している状態 =「気虚
【主な症状所見】
胃腸の消化吸収不良などによる「気」の産生低下や過労・ストレスなどによる「気」の消費の増加により、「気」の絶対量が不足し、疲労感や倦怠感、気力低下、日中の眠気、風邪をひきやすい、手足の冷え、低体温、食欲不振、胃もたれ、下痢といった症状をきたしやすい。
【頻用漢方】
不足した気を補う補気剤である補中益気湯、六君子湯、四君子湯など

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「血」の異常・・・「お血」「血虚」

C「血」が滞っている状態 =「お血(血滞)」
【主な症状所見】
ストレスや冷え、他の「気・血・水」異常が原因で「がスムーズに流れず局所で停滞することで、頭痛、生理痛、狭心痛などの「痛み」、子宮筋腫、卵巣嚢腫などの「しこり」、目の下のクマ、舌・唇に暗紫色の「黒ずみ」などの症状をきたしやすい。
【頻用漢方】
「血」の停滞を除去する駆お血剤である桂枝茯苓丸、桃核承気湯、当帰芍薬散、加味逍遥散など

D「血」が不足している状態 =「血虚
【主な症状所見】
偏食やダイエットなどにより全身に必要な栄養を運ぶ「血」が十分に作られなかったり、月経過多や妊娠・出産などで「血」の消耗が激しかったりと、「の量および機能が不足している状態で、過小月経、顔色不良、肌荒れ、髪や爪が傷みやすい、かすみ目、こむら返り、眼瞼痙攣、動悸、浅眠多夢、驚きやすいなどの症状をきたしやすい。
【頻用漢方】
「血」を補う補血剤である四物湯や駆お血作用を有する当帰芍薬散、「気虚」を合併するケースには気血双補剤である十全大補湯、人参養栄湯など

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「水」の異常・・・「水毒」

E「水」が滞っている状態 =「水毒(水滞)」
【主な症状所見】
「水」(体液)の流れが滞り体液の分布が不均衡な状態。停滞している部位によって症状は様々で以下のような症状をきたしやすい。
全身→むくみ、体が重だるい感じ、発汗過多
頭部→頭重感、めまい、耳鳴り、立ちくらみ
胸部→胸水、水様性鼻汁・喀痰、咳嗽
腹部→腹水、胃内停水(胃がチャプチャプ)、腹重感、消化不良
関節→関節の炎症・痛み・こわばり
【頻用漢方】
「水」の偏在を矯正する利水剤である五苓散、猪苓湯、真武湯など

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五行(ごぎょう)

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未病(みびょう)

「疲れやすい・疲れがとれない・身体がだるい」「よく眠れない」「イライラしてしょうがない」「食欲がない・胃腸の調子が悪い」「頭痛・肩こりがひどい」「よくめまいをおこす」「身体が冷えて困る」など、病院に行くほどでもないけれど「なんとなく調子が悪い状態」を経験したことはありませんか?

このような状態は病気未満ではありますが、病気一歩手前の病気に向かっている状態といえます。この状態を「未病(みびょう)」と言います。

未病」の状態は、西洋医学では治療の対象とならないことが多いです。「病気を治療する西洋医学の考え方とは異なり、「未病の段階から不調にアプローチできるのが漢方治療の大きな特徴で、まさに予防医療と言えます。漢方治療では各々の体質や状態に合わせて治療するため、同様の症状でも異なる薬を用いたり、また、複数の症状でも一つの薬で治すこともあります。

人間関係仕事上のストレスから、最近では「未病」の中でも次のような精神症状が多くみられます。

・「よく眠れない
・「いつもイライラしている」
・「やる気がでない」
・「集中力がない」
・「くよくよとマイナス思考」
・「不安焦りがつよい」
・「なぜかおどおどしてしまう」
・「ドキドキと緊張していることが多い」e.t.c.

これらの症状も放っておくと、「未病」で済まずに「病気」へと進行する場合もあります。「未病」の症状は体が発している黄色信号と考え、早めのケアが必要です。

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養生(ようじょう)

漢方治療において、実は一番大事なことは、「病気にならないライフスタイルを確立することです。そのために必要なのが「養生(ようじょう)」という考え方です。

養生」とは、体を整えること。つまり、生活に留意して健康の増進を図ること、不調の改善に努めることで、普段の生活の中で自分のもっている自然治癒力を高める方法です。

養生」といっても、言葉のイメージほど難しいことではなく、
・質のよい睡眠をとる
・起床時間をそろえる
・バランスのとれた食事を摂る
・生活に運動を取り入れる
など、一般的に知られていることがほとんどです。しかし、これら一つ一つの意味重要性をきちんと理解して実践しているいる人は非常に少ないです。

大切なのは、日ごろから患者自身が自分の主治医となって、自分の体を養生し健康を保つということ。そして、未病の症状を自覚したら、自分の養生法を見直し、不十分なときは早めの漢方治療で健康状態を取り戻すことです。

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