消化酵素とは、胃や膵臓、小腸など消化器官から分泌される酵素で、食べたものを血中に取り込める大きさにまで分解するために働きます。
消化酵素と腸内環境
通常、摂取した食べ物を消化吸収するためには上記のような消化酵素が不可欠ですが、ストレスや感染、加齢、体調などの影響で消化酵素の分泌が低下すると消化不良の状態になります。
その結果、未消化の食べ物が悪玉菌によって腸内で異常発酵し有害物質を発生したり、分子量の大きいペプチドが腸粘膜から侵入してアレルギー反応を起こ炎症状態を来したりして、腸内環境が悪化します。また、腸壁を通過して血中にのった有害物質やペプチドなどが全身を巡り皮膚や臓器に悪い影響を及ぼします。それを防ぐためにも消化酵素の十分な補充が必要です。
消化酵素を選ぶポイント
消化酵素の原料には動物由来のものと植物由来のものがありますが、動物由来のものは胃での強い酸性環境に耐えることが出来ないものが多いので、植物由来のものがお勧めです。
3大栄養素(タンパク質、脂質、炭水化物)は、前記のように、それぞれ特異的な消化酵素によって分解されるため、3種類すべて含むものが良いです。特にタンパク質の消化は重要なので複数種類のプロテアーゼを含むものが良いです。
また、消化酵素は、その種類によって活性が高まる最適なpH値(酸性〜アルカリ性の度合いを示す値)が異なります。アミラーゼはpH値:6.5、リパーゼはpH値:5.0〜7.5の環境下で最も活性が高いです。胃の強い酸性下でも、弱酸性の腸でも作用が減弱しない幅広い範囲のpH値に適合するものが良いです。
消化酵素と死滅反応
腸内の真菌や病原性細菌は、抗真菌薬や抗菌薬によって死滅するときに有害な代謝産物を放出します。最終的には肝臓で代謝され尿や胆汁酸とともに排泄されるのですが、それまでの間、腸管内を蔓延したり、血液によって全身に運ばれたりすることで、身体に様々な悪い影響を及ぼします。これを死滅反応と呼びます。
もともと腸内フローラのバランスが崩れていると消化管に炎症を呈しやすく、消化管のバリア機能が破綻して透過性が亢進します。このような場合、死滅反応は起きやすいです。
症状としては、発熱、頭痛、倦怠感、腹部膨満感、嘔気・嘔吐、便秘・下痢、湿疹、痛みなどを呈することが多いです。
タンパクを分解するプロテアーゼや食物繊維を分解するセルラーゼなどの消化酵素にはカンジダ菌や有害細菌の細胞壁を分解する作用があるので、上記のような場合、服用後、一時的に死滅反応がみられることがあります。カンジダ菌などが減少することは良いことですが、上記症状が強い場合や数週間しても症状が改善しないケースは一旦消化酵素の服用を中止し、消化管の抗炎症治療、バリア機能の修復を優先した方が良い場合もあります。